ジョブ型雇用の内容は分かったけれども、具体的にジョブ型雇用のメリットとデメリットを知りたい。
自分がジョブ型雇用で就職や転職をする場合に、覚えておくべき事があれば知りたい。
今回は、このような疑問に対して説明していきます。
前回の記事を未だ観ていない人は、まずはそちらを読んでください。
最近、「ジョブ型雇用」という言葉をよく聞きます。 ジョブ型雇用が、どういう雇用形態なのかよく分かりません。教えて下さい!中の人ジョブ型雇用についてメンバーシップ型雇用との[…]
目指し方が理解できると思うので・・・。
ジョブ型雇用のメリット・デメリットとなぜ必要なのか?
の背景をお伝えします。
■ジョブ型雇用のメリット・デメリット

ジョブ型雇用のメリットやデメリットを説明する前に、
どうしてジョブ型雇用が話題になってきたのか?
その背景から学んでいきましょう。
ジョブ型雇用を採用しなければならない理由、と言い換えても良いかもしれません。
専門性の向上
もともと日本が採用してきたメンバーシップ型雇用では、1つの分野に特化した人材を育成しづらい
というデメリットがありました。
専門性が高くない、というデメリットは国際競争力が下がるという欠点を併せ持っています。
実際にスイスで発表された「世界競争力ランキング2019」では、日本は30位にランキングされています。
この前年である2018年には、同ランキングで日本は25位でした。
1年で5位も順位を落としたのです。
もともと1989年から1993年まで、日本は世界競争力ランキングで世界一でした。
国際競争力を取り戻す為にも、従来のメンバーシップ型雇用ではなく、ジョブ型雇用に切り替えていく必要があります。
技術者不足
現在、日本は圧倒的な技術者不足です。
団塊の世代の大量退職や、少子高齢化、技術伝承の遅れから、次の世代の技術者が足りていません。
ここへ来て現在は、第4次産業革命と呼ばれるほどの技術革新の波が押し寄せています。
よく聞く革新技術の名前を挙げただけでも。
AI
5G
IoT
ロボット
ブロックチェーン
ドローン
などなど。
ハードウェア系、ソフトウェア系エンジニアをはじめ、データーサイエンティストなどの専門職が大きく不足しています。
経済産業省の報告によると、2030年までに40万人から80万人のIT系の人材が不足すると予想されています。
今という時代は、一部の会社だけでなく、多くの会社でエンジニアが必要とされているのです。
その理由は、これから起きる技術革新は、業界を問わず多くの会社で必要になる革新的な変革だからです。
これまで多くの会社がゼネラリストを育ててきました。
はっきり言いますが、これからの時代にはゼネラリストは不要です。
時代遅れだからです。
ゼネラリストとは、ビジネスにおける広範囲の知識や技術、経験を有する人材を指します。
いわゆる総合職の何でも屋、これがゼネラリストのイメージに一番近いと思います。
実際には、ゼネラリストの定義や抱える意味はとても広範囲に及び、解釈も人それぞれですので、
ゼネラリストは使えない!という場合もあれば、
ゼネラリストの時代だ!という場合もあるでしょう。
意見として真っ二つに割れる難題かもしれません。
ゼネラリストとスペシャリストの違いや説明については、また別の機会に掘り下げます。
ともかく、これからの時代はゼネラリストよりもスペシャリストが求められています。
しかもこの流れは、これから一層強まっていくと考えられています。
ダイバーシティ
「ダイバーシティ」という言葉を聞いた事があるでしょうか?
ダイバーシティとは、相違点という意味です。
ビジネスの世界で言うダイバーシティとは、「多様な人材を積極的に活用しよう」という考え方の事になります。
特に性別や人種、年齢や学歴、価値観やライフスタイルなど、多種多様な市場を有利に経済成長していくため、経営戦略として多くの企業が取り入れようとしている考えです。
企業にとっては、
といった事が、企業成長につながります。
こうした社会背景が浸透してきた結果、従来のメンバーシップ型雇用よりもジョブ型雇用の方が、働き方として適しているという事が注目されたわけです。
■ジョブ型雇用のメリット

それではジョブ型雇用のメリットから見ていきましょう。
結論から言いますと、大きく分けて3つあります。
ただし、1つ目は企業側と労働側の双方の視点からメリットを伝えます。
1-2.労働側:自分の専門に合った仕事ができる。2.スキルに応じて給料を上げられる。3.ジョブローテーションが無い。
この3つです。
順に解説していきます。
1.専門性に合った人材や仕事
企業側のメリットから説明します。
まず、一から担当者を教育する必要がありません。
勤務地、勤務時間、業務範囲を限定的にすることが可能になり、その内容に応じて必要なポジションにあった人材を、市場から確保する事ができます。
ですので、環境の変化に合わせて組織を最適化する事が可能になり、人材育成コストも削減できます。
労働側のメリット。
自分の専門を生かした仕事をする事ができます。
その専門に特化した仕事を継続する事で、更にスキルを磨いていく事ができます。
2.スキルに応じて給料を上げられる
年齢や学歴に関係なく、社内のポジションや担当する業務によって、高い収入を得られます。
20代前半でも、40代後半の収入を得る事も出来ますし、より高いスキルで市場価値も高ければ、さらに多くの収入を得る事も可能です。
転職にも有利になる事でしょう。
3.ジョブローテーションが無い
勤務地、勤務時間、業務範囲を決めて契約しますので、ジョブローテーションなどによる転勤や業務異動がありません。
つまり、契約内容以外の職務を行う義務は発生しないのです。
自分のキャリアプランを磨いていく事に集中できます。
大きく分けて以上の3つがメリットになります。
それでは、デメリットはどのようなものになるのでしょうか?
■ジョブ型雇用のデメリット

ジョブ型雇用にも、当然デメリットは存在します。
次のようなものです。
企業側としては、会社都合による転勤や移動ができない、という事になります。
ジョブ型雇用は、雇用契約書によって勤務地や業務内容を明確にしているケースが多いので、会社都合による転勤や異動ができません。
次に労働側のデメリットを2つ紹介します。
景気や会社の都合などで、その専門スキルを活かした職務自体が必要無くなることがあります。
職務として雇用契約をしているので、その職務の必要がなくなった場合は、仕事が無くなる可能性があります。
ジョブローテーションによる人事異動や転勤などの逃げ道が無い、という事です。
企業側は社内研修などの教育を行ってくれません。
仕事だけしていても自動的にスキルが上がる訳でもありません。
それを超える勢いで、世の中が変化しているからです。
自発的に学習してスキルを磨きましょう。
自分の持っているスキルが陳腐化すれば、その職務にとっては不要な存在になってしまいます。
プライベート時間を使って、自身のスキルアップをしていく必要があります。
■まとめ

今回はジョブ型雇用の背景と、メリット・デメリットを解説しました。
新型コロナウイルスの影響で、ますますテレワークやリモートワークは増えていく事でしょう。
これまで以上に成果が重視される時代になるでしょうし、国際競争力をつけていくためにもジョブ型雇用を導入する企業は、これから増えていくのは間違いないと思います。
大きな変化に対応することが、企業にも労働者にも求められています。
変化への対応が遅れた場合、生き残るのは難しくなるでしょう。
お互いに頑張っていきましょう。
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