品質解析若手担当中嶌です。
今回はみんな当たり前のように使用していてついつい忘れがちなオシロスコープの使い方についてお話します。
【周波数帯域の問題】
周波数帯域とは信号を減衰することなく扱える周波数の範囲です。
では、10MHzのオシロスコープがあったとしましょう。
これに1Vp-p、10MHzのSin波形を観測したとすると波形はちゃんと確認できるでしょうか??
答えは・・・
できないです!!
オシロスコープの周波数帯域とは、
「入力されたアナログ信号の振幅が-3dBになる周波数」
なのです。従って先ほどの1Vp-p、10MHzの信号を10MHzのオシロスコープ
で計測した場合、0.7Vp-p、10MHzの波形が観測されます。
周波数が14MHzであった場合なんとほぼ1/2の0.5Vp-p、14MHzの波形になってしまいます。
とまあ、オシロの営業マンさんが良く語ってくれるあるあるなのですが
現場ではアナログ信号(Sin波)は解析あんまりしないと思います。
最近はデジタル信号(方形波)の方が多いので、
波形が10MHzの方形波だったらどうでしょう?
方形波は実はSin波形の集合であることをご存知でしょうか?
(フーリエ級数展開という手法で周波数成分を調べられます。)
F(x)=sinx+a1*sin3x+a2*sin5X・・・のような式で方形波は表現できるのです。
したがって、10MHz、30MHz、50MHzの周波数成分を含むのです。
もはや、オシロのスペックを大幅に超える50MHzが出てきちゃいました。
従って成分はすべて-3dB(70%)減少してしまい、波形がちゃんと現われません。とくに立ちあがりなんかはくにゃっとまがって見えてしまいます。
【解決方法】
オシロスコープの立ちあがり時間(10%~90%の振幅までかかる時間)
と周波数帯域の関係は
T10%~90%[s]=0.35/fc[Hz]
です。この式に先ほど確認したかった10MHzを代入すると、約35nsecです。
立ちあがりがこれよりも短い周波数成分はちゃんと確認できないことが分かります。
従って、最低でも10倍くらいの周波数帯域のスペックのオシロスコープを選定して波形を確認する必要があります。
(オシロスコープのサンプリングがこの周波数帯域の4~10倍の設定されるためちょうどつり合うのです。)
とはいいつつ、周波数帯域が高いオシロスコープは値段も高いです(笑)
計測したい周波数はどれくらいなのか確認して、オシロスコープを買いましょう。
ではまた!