品質評価担当の中嶌です。
今回は、製品の寿命予測の手法としてよく知られる、ワイブル分布について、説明します。
下のリンクを読んでから、こちらの記事を読むのが良いかもしれません。
基本的な事から統計学を勉強したい人は以下の記事をお読みください。
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なぜワイブル分布を説明しようと思ったか?
先日、信頼性試験について講義を受けたのですが、
その中でも、ワイブル分布はどんな寿命試験でもご存知!のように扱われ、いきなり
数式だけ出てきて、正直とっつきにくかったです。
私は数式をしりたいのではなく、その意味が知りたかったのです。
なぜ?そのモデルをつかうの?どうしてそういう数式になったの??ってすっごく気になりました!
というわけで、今回は私のようなワイブル分布?なにそれ?って方でもわかるように高校生程度の数式をつかって説明します。
ワイブル分布ってなんやねん?最弱リンクモデルとは
ワイブル分布を説明するために、Dr.ワイブルが思いついた発想を説明します。
まず、n 個の環っかがつながった 1 本の鎖を考えます。
この鎖を荷重xでひっぱって、壊れる確率をQとします。
鎖が壊れる場合、壊れる個所は、環っかのうち一番弱い場所から壊れそうですよね?
製品でもそうですが、こわれる個所は一番脆弱な個所なのです!
この環っかの1つが壊れる確率をPとしましょう
ワイブル先生が考えたのは、
(鎖が荷重xで壊れる確率)=(一つの環っかが荷重xで壊れる確率)^n
という事なのです。
つまり、Q=P^nなんですね!!(この時点で筆者はこの人すげえと感動しました。)
私達が知りたいのは鎖、(要するに供し品)が壊れない確率です。
つまり、
(鎖が荷重Fで壊れない確率)=(鎖の環っか1つが荷重Fで壊れない確率)^n
1-Q=(1-P)^n
となりますね!
このモデルは、最弱リンクモデルと呼ばれます。
世の中の製品もそうですが、こわれる時は一番脆弱な個所からこわれそうですよね?
ワイブル先生は、このことを、鎖を構成する環の1つが壊れる確率と鎖全体が壊れる確率を初等関数の範囲で素直に表現したという 天才的なひらめきをモデルにしたのです。
ワイブル分布の数式について
さてここまでは、ワイブル分布の意味について説明しました。
1-Q=(1-P)^nを変形して
Q=1-(1-P)^n
です。
ここで、Pを1-exp(-f(x))と置き換えると、
(なんで置き換えるのだろうとおもったとおもうのですが、説明するとマクローリン展開等が入ってきます。高校数学を超過するので、指数のうちexpが一番自然科学に合致した指数なんやと思ってくれればOK)
Q=1-(1-(1-exp(f(x)))^n
Q=1-(exp(-n*f(x)))
となります。
次に、f(x)をもう少し具体化するために、工学的条件を考えると、 まず、鎖の強度には正の最小値がありますから、 それを xmin とすれば、
f(x) >= 0 (x >= xmin)
f(x) =0 (0 < x < xmin)
でなければなりません。
さらに、
f(xmin) = 0 (荷重xが最小値では壊れる確率が0)
f(x) は x > xmin で、単調増加関数(荷重xが大きくなればなるほど故障確率が高い)
の条件を満足する関数で、最も簡単なものを選ぶ方針で探すと、
(x – xmin)^m / x0 (m > 0, x0 > 0)
が見つかって、
P(x) = 1 – exp(-(x – xmin)^m / x0)
となります。
みなさんがワイブル分布としてよく見る
Rt=1-exp((λ/T)^m)はここから来たのです^^
xminはx軸の位置を変えるので位置パラメータ
x0は尺度を決めます(全体の故障率がe-1≒63%程度になるまでの値の事です)
mは指数の傾き具合、要するにグラフの形状を決めるので形状パラメータといいます。
ワイブル分布に関する原論文
今回はワイブル分布の意味について説明しました。
これを使って実際にはんだの寿命の検討をしようと思うので、重要な分布やと思うので意味だけでも覚えとくとGoodです。
はんだ以外にも寿命予測に使える式なのでぜひ^^
参考に乗っけます。
https://web.cecs.pdx.edu/~cgshirl/Documents/Weibull-ASME-Paper-1951.pdf
統計学は難しい。統計学の入門書を読んだが理解できなかった。数字アレルギーがあります。中の人では統計学の基礎の基礎から説明します。中学数学で理解できるよう噛み砕いて説明するの[…]
ワイブル分布の勉強・書籍
ワイブル分布は確率分布ですので、まずは統計学なるものを勉強する必要があります。
こればかりは、どうしても学習して知識を植え付けるしかありません。
先日こんなTweetをしました。
このTweetにある、初心者向けの記事のリンクは下の方にあります。
ワイブル分布は、工業系エンジニアに必須です。
必要ですが、そもそも統計学を理解してない人が多い。統計学は数学の一部なので、数式は「言語」になります。
言語を知らないのに、統計学を理解できるはずがない。
簡単な数学から勉強すると良いですよ☺ブログで簡単にまとめてみようと思います。
— Professional養成講座【エンジニア専用】 (@Profes_Engineer) September 4, 2020
書籍で学ぶなら、読みやすい良書から始めるのが良いと思います。
あくまで私見ですが、おススメの書籍と説明を記します。
まずは統計学の基礎が分かる、入門書です。
読みやすいですので、ここから始めましょう。
少し慣れてきた、統計の基礎知識がる人はコチラが分かりやすくてお勧めです。
下のリンクを読んでから、こちらの記事を読むのが良いかもしれません。
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この本の内容以上の勉強に役立つ本に関しては、別の記事で紹介します。
ちなみに読書がシンドイな、という人は聞き流す読書が良いと思います。
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